2013年11月19日火曜日

Victor Hugo Gala Concert @ Seoul - Richard Charest (3)

ソウルガラコンでのあれこれ  ~Rimbaud et un cadeau

というわけで、5月日本を脱出してソウルへ。実は、初ソウルだったりした(だが、弾丸すぎて、ガラコン以外何もしなかったので、ソウルの記憶はセジョン・シアターしかない(苦笑))。

 セジョン・シアターwith ペチュニア


直前まで、マットやリシャールたちが出している出演者のスケジュールと、会場が出しているスケジュールが食い違っており、日にちが増えるのか減るのかやきもきしていたが、結局土曜に2公演ということで、とりあえず友人と夜の部の公演のみ日本から手配する。だが、直前になって、やっぱりソウルまで遠征して、1回だけってもったいない(特にペルティエさんが歌うという件と、リシャール@ヅラなしは貴重過ぎる件があったので(笑)。)、という話になり、昼は、当日券を狙うことにする。

実際、当日券を買いに窓口に行くと、普通に前から2列目の席が余っており(でもさすがに1席)、5列目だかの席も一緒に取れたので、友人と前半、後半席を交換して見ることにする。

 ソワレの公演

2014/10/25追記:このコンサートの模様をマットがクリップにまとめていました。
リシャールのLes Miserablesの"Empty Chairs at Empty Tables"を冒頭聞くことができます。


もう一つ、この公演で気になっていたのは、リシャールがプロダクション段階から関わっているRimbaud(注:フランスの有名な詩人。教養のない自分はほぼ知らなかったので念のため。)のミュージカルの曲。実は、ガラコンの曲目の選曲段階で、リシャールが、Rimbaudの楽曲をやるということをTwitterで発信しており、それに付随して、実は、2014年にアジアツアーをやるということを知る(NDPの日本ツアー中に実はオフが1週間あったが、彼は台湾でこのミュージカルの打ち合わせを行っていたらしい。)。


リシャールがRimbaudのミュージカルに携わっているということは、実はNDPの公演中から知っていたものの、HPに行ってみると、自分が中学生のころに見たようなすごい原始的なHPで(ごめん、リシャール。。。)しかも、写真を見ると、ミュージカルというより衣装を着た朗読劇?のようにしか見えず、どういったミュージカルなのだろう。。。と個人的に疑問に思っていた。楽曲の一部も聞くことができたので、聞いてみたものの、タイトルしか出ておらず、歌詞も拾えるような語学力もほぼなかったので、結構現代的な楽曲だな、、、ぐらいのことしかわからなかった。

ただ、RimbaudのWikiなどを見ると、当時としてはかなりアバンギャルドな人生を送った人でミュージカルの題材としては、かなり面白そうだし、je est un autre(私は他者である。)ということばも何だか意味深でちょっと興味を持っていた。また、リシャールが、歌手として参加しているだけでなく、楽曲も自分で作っているという点ですごく興味があったし、もし公演を見る機会があれば、見たいとは思っていた。そこで、アジアというまさに射程距離範囲内での公演、という話になったら、Yes!と思わずにはいられない(笑)。前回の公演はパリだったので、やるとしてもパリかケベックだろうと思っていたので、これは本当にうれしい話だった(遠征費用って馬鹿にならないから…。)。

リシャールは、ランボー関連のグッズの写真をアップすることが度々あったり、ランボーの出身地であるシャルルヴィルに行ったときの写真をガシガシ載せていたこともあったので、ランボーに対しては特別な思い入れを持っているんだろうなということは想像できた。

せっかく、ソウルまで行くし、でも、折り紙作戦はもう完了しちゃったので(笑)、そうだ、ランボーの文庫本なら喜んでくれるかもと思い、本屋でランボーの詩集を購入する。カバーが普通の文庫本としては、ちょっとオシャレで、そういう意味でもなんだかいいかも、と思った。

実は、NDPの公演を通じて、ミュージカルファンの方たちと交流する機会ができ、「同志」のような方たちと出会うことができた。R&Jまでは友人と自分みたいな感じで結構孤独に情報を追っかけていたので、これはすごくうれしかった。そのおかげで、いつもの自分の狭い世界からちょっとだけ脱出することができ、このような機会が巡ってきたのも、元はと言えばリシャールのあの映像を見たお蔭(たびたびこの話になってしまうが。。。)だったりするので、どこかで機会があれば、リシャールにthank you的なメッセージを送りたいと思っていた。(いや、向こうとしては、勝手に感謝されても…って感じだったとは思うんだけど苦笑。でも、感謝されて嫌な気分になる人も少そういないだろうと思い。)。ソウルガラコンはそれを伝えるいいチャンスだとも思った。

そして、コンサート前日に、Twitter上で「また会えるのを楽しみにしています。」とコメントを送ると、Moi aussi!とリシャールが返してくれ(たまたまだとは、思うけど。)、さらにテンションが上がる(単純)笑。



 マチネの公演
日本で取った席よりいい席ってどういうことだろう苦笑。
映像も。
伝説のカテドラル2回目アンコール。

事前に曲目はセジョン・シアター側から発表されていたが、ふたを開けてみると、実はちょこちょこ変わっており、特にびっくりしたのは、Rimbaudのミュージカルからの楽曲が2曲("Vitalie"と"Sauver les Apparences")入っていたことだった。(あとから推察するに、リシャールはこのガラコンでブリューノさんがいる手前、グランゴワール楽曲を歌うことができないので(これはリシャールファンからするとかなりのジレンマだった…。ブリューノさんのカテドラルはもちろん聞きたいし、でも、リシャールの見せ場が減るのは悲しいし、みたいな苦笑。)、彼の見せ場が減ってしまうことを懸念して、彼が主催するミュージカルの楽曲を入れることになったのではないかという気がする。リシャールはソウルでのNDP公演に出演しているから、韓国のファンもいっぱいいるはずで、その辺も考慮したのかも。)

実際、彼はロミジュリのAimerだったり、Belleのフェビュスパートを歌ったりしていたのだが、どれも美しいんだけど、何となく精彩を欠いているように見えた。Aimerも確かに声はきれいだし、美形なロミオなんだけど、何だかしっくりこないし、Belleのフェビュスもやっぱり年を重ねているせいか、声の渋さがどうもフェビュスの音域とは合わなくなっている気が個人的にはした(→やっぱりグランゴワールが今のリシャールのハマり役なんだわ、と納得。)。

で、"Vitalie"と"Sauver les Apparences"が披露されたわけだが、Sauver les Apparencesの方は、ランボーの母ヴィタリーとランボーの恋人だったポール・ヴァルレーヌの妻のマチルドとのデュエットなので、NDPでエスメラルダを演じていたナディアとケベックのレミゼでエポニーヌを演じていたソフィーさんが歌っており、きれいな楽曲だったことは印象に残っているが、何せ歌詞が全くわからなかったので、実は、当時はそれほど印象に残らなかった(ごめん、リシャール。)。

→あとで、何度もこの曲を聞き返してたら、どうやら、ヴィタリーもマチルドもランボーに裏切られ(マチルドは旦那を取られたという意味で明白だけど、実は、ヴィタリーの方は何をもって裏切りとしているのか実はまだちゃんとわかっていない(汗))、打ちひしがれつつも、でも私たち前を向いて歩いていくわ、みたいな曲だったようだった。ちゃんと聞いたら、かなり女としての矜持やプライドみたいなものを感じられる曲(女子としてちょっと共感。)で、個人的にどんな風にミュージカルになるのか楽しみ。そして、ソウルでちゃんと理解できなくて、ごめん、リシャール。懺悔。

ところが…!!!Vitalieの方は、リシャールとマットで歌ったのだが、これがすごかった。
まず、リシャールの気合が違った。→これは、ほかの歌で彼が手を抜いていたとかそういう意味ではもちろんないのだけれど、この曲からは並々ならぬ情熱が舞台からビンビンと伝わってきた。まさに水を得た魚ではないが、本当にリシャールがいきいきとしていた。

あと、この曲は、たぶん、ランボーと誰か(マットのパート。これが誰なのか未だわからず。)がヴィタリーを非難する曲なので(とりあえず、「ヴィタリー、あんたは俺の人生をめちゃくちゃにした(détruit ma vie)」、という歌詞だけは聞き取れる笑。)、曲調もかなり緊張感が溢れた感じでそれもやたらと情熱的に響いた理由かもしれない。

しかも、なぜか、リシャールとマットはこの歌を実際のミュージカルのようにちょっと演技つきで歌っていて、昼公演では、歌い終わったリシャールがマットを置いて舞台から真顔で一人去っていくというプチ演出もついていた(ただ、夜公演は、マットとの仲の良さが出てしまい歌い終わったらお互いニッコリ、で終わった苦笑。)。

写真がないのが残念だが、歌っている最中のリシャールは観客がはっとするほど、ガチでpassionatelyに歌いこんでいた。とにかく、この画だけは、自分の目にすごく焼きついて離れなかった。

そして、昼、夜公演と満喫したあと、ほかの日本人のファンの人たちと一緒に出待ちに挑戦する。会場がでかいので、ひょっとすると無理かも疑惑があったし、かなり待ってもシンガーたちが全然出てくる気配がなかったので、もう無理だよね、と諦めかけていたころ、出演者が出てきて、ほかの韓国人ファンも含めて、騒然+混乱状態になった。→まあ、ブリューノさん初アジア訪問だからそうならないわけはないわね…。

会場大混乱の図。


そこで、ブリューノさんのレコード会社の人が気を利かせて即席サイン会場を作ってくれて(テーブルとかそういえば歌手たち本人が出してた笑。)。サインをもらえることになった。自分はかなり最初の方に並んでいたため、正直混乱度MAXの状況だった(他の日本人の人たちはちゃんと焦らず最後の方に並んで和やかに対談していた。。。我ながら焦ってはだめなんだなあとそのとき反省。)。

サインもとりあえず流れ作業で(でも、だから全員のサインをちゃんともらえたんだけど。)話とかもかなりしにくい状況だった。リシャールはソフィーさん、ロベールさんの次に立っていて、とりあえず持ってきていた"Il était une fois... Joe Dassin"のCD(リシャールの音源で購入できるものがこのときはこれしかなかった。)にサインをしてもらう。「昨日メッセージを送ったんですけど…」というとそのことをリシャールは覚えてくれていて、わざわざ私の名前を聞いて、CDにサインしてくれた。

名前を書いてくれたはずなのだが、イマイチ自分の
名前っぽくない笑。そして、実はリシャールのサインがない泣。
でも、これも宝物。

そこで、例のランボーの文庫本を渡すとリシャールは少年のようなキラキラの笑顔になり、何やら隣のロベールさんと言葉を交わしたあと、目の前でパチリと本の写真をi Phoneで撮り、本を返してくれた(笑。日本語だったから??)。そのあたりで、ツアーのスタッフのお兄さんにMiss、早くいけ、と急かされ、リシャールやブリューノさんとは写真をまともに撮れず、マットやナディアとは一緒に写真を撮ることも叶わないまま、私のサイン会は終了してしまった。


内部の混乱画像。
でも、この印象的なナディアの表情。
という意味でちょっとお気に入りの写真。

追い出されたあと、どさくさに紛れて、これプレゼントだから、と、とりあえず本をリシャールに渡すことだけは成功したけれど、今から考えても何だか悔いが残る出待ちだった。。。
で、外でぽつねんとガラス越しにほかの人たちがサインをもらうのをのぞいていたら、リシャールが日本人のファンの人たちにランボーの本を見せながら何だか楽しそうに話しているのが見えた。え、本について話してくれている!とちょっとうれしくなった。

そして、さらにうれしいことに、その後、その写真をリシャールがTwitterに載せてくれていた。リシャール喜んでくれるだろうか、と思いながら選んだものを、本人がすごく喜んでくれたのは、本当にファン冥利に尽きるし、感動した。

このTwitterの写真に、日本人のファンの人たちも反応してくれて、それも個人的にちょっとうれしかった。自分としては、日本をアピールできるかも、というところまでは考えていなかったけれど、結果として、「日本」を記憶に残してもらうことができたようだったので、これはうれしい誤算だった。

リシャールはこの絵を気に入ってくれたのか、その後FBのアイコンに使ってくれたりして、この旅行はそういった意味でも、すごく思い出深い海外遠征になった。

この本での交流を機に、何となくリシャールに感じていた「壁」が消えた気がした。NDPファンの間でリシャールはツンデレだね、みたいな話をしたことがあったが、確かに、リシャールは、最初こそ、「壁」というかガードが堅い感じではあるけれど、こっちが一生懸命応援しているよ、というのがわかるとすごく真面目に(時には驚くほど生真面目に(笑))対応してくれる。(フレンドリーな人だけど元々はちょっとシャイな性格なんじゃないかと勝手に想像。そういった意味で何となく親近感を感じてしまう。)そんなところが、やっぱりファンに愛される所以なんじゃないかなあと思う。

実は、このランボー話にはちょっとだけ余談があり、その話はまた改めて書こうと思う。

(4)につづく

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