2014年5月18日日曜日

La Rencontre de deux Géants - Partie 2 〜Rimbaud Spectacle Musical キャスティング〜 

If you prefer to read in English see here.

さて、いつものように間が空いてしまいましたが、ランボーができるまで、の第一弾に引き続き、第二弾。今度はキャスティング編です。
第一弾はこちら

あくまで、個人的な予想ですが、2007年から7年ほど経過しているので、lectureのときに出ていた人全員が揃う可能性は低いかなと思います。それぞれ気になる人たちではあるのですが。。。でも、キャスティングが決まるプロセスが読んでて意外と面白かったので、こちらも載せてみることにしました。

というわけで、後半の「キャスティング編」です。


2007年のlecture(プレビュー公演)の時のキャスト。

左から、ジョナタン・セラーダ(アルチュール・ランボー役)、リシャール・シャーレ(ポール・ヴェルレーヌ役)、リュシー・ベルナルドニ(マチルド・ヴェルレーヌ役)、パブロ・ビアフランカ(ジョルジュ・イザンバール役)、パスカル・ラファ(エルネスト・ドラエー役)、ソフィー・デルマ(ヴィタリー・ランボー役)
それぞれの役の関係についてはこちらをご覧ください。

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このすばらしいプロジェクトの成功には6人の 賢明な選択も含まれていた。6人の役のキャスティングである。6人というのはそれほど多くはない。だが選択は選択である。役の人数はそれほど多くはない が、これらの役はすべてとても印象的な役である。ヴィタリー、マチルド、ポール、アルチュール、ジョルジュ、そしてアルネストになるのは誰か。キャストは台詞や メロディーと同じぐらい重要である。間違いは許されない。

一番最初に割り振られた役は、若きアルチュールの長年の脇役であったアルネスト・ドラエーの役だった。リシャールは、このプロジェクトについて、パスカル・ラファと2005年から話をしていた。彼は、アルノーとリシャールと以前、ロレット・フュガン財団*のためのLe Cœur des Femmes」のアルバムで一緒に仕事をしたことがあった。

*リシャールの奥さんのマリーさんの妹さん(白血病で若くして亡くなっている)を偲んで設立された財団。リシャールのFBにもロレットさんのことがときどき出てきます。
 
二番目にこの冒険に仲間入りしたのは、 ソフィー・デルマだった。リシャールは、2001年にラジオ番組で彼女に初めて会った(リシャールは、ノートルダムで、ソフィーは「巨大なる戦場」で。)。そして、2回目に会ったのは、風と共に去りぬのキャスティングのときだった(このとき、リシャールは、レット・バトラーの役のオファーを断っている。)。彼女と同じステージに立つことはリシャールにとって願ってもいない夢だった。最初のデモ録音のときに、彼は急いで彼女にヴィタリー・ランボーの役をオファーした。

余談ですが、ソフィーさん、この間のフランス版The Voiceシーズン3に出場していました。Voiceは、そもそもコーチにGarouがいたり、ロミジュリやMozart l'Opera RockのアンダーをやってたNuno Resende、1789に出てたLouis Delort (どちらもファイナリストまでいったはず。)等々ミュージカルにつながりのある人が結構出場しているのですが、ソフィーさんの場合、マンマミーアで主役をやっていたり、他にもいろいろミュージカルに出演しているはず(去年はピノキオにも出演。)なので、Voiceに出演というのは結構びっくりしました。。。Voiceは結局あまりいいところまでいく前にeliminateされてしまったみたいですが…。彼女が歌うヴィタリー結構好きだったので、本公演で見れるといいなあ、とか思ったりします。そして、リシャール、バトラー役、断っていたということをこれを読んで初めて知りました。何だかもったいなかったような気もするけど、いろいろ事情があったんだろうか。

その次はパブロ・ビアフランカ(「十戒」)だった。 リシャールは既に、何度も彼と顔を合わせたことがあったが、きちんと知り合う機会はまだなかった。ある日、パスカル・ラファがリシャールにおもしろいSMSを送ってきた。そのSMSには、パブロのことが書かれており、パブロとパスカルはその前の日に出くわしていたのだった。ちょうど「ジョルジュ」(ランボーの若き教師であったイザンバール。)役がいなくて困っているときだったので、そこでひらめきが起こった。お互いのことを知るためにランチをし、これでジョルジュ探しは完了した。

パブロさんは上記のとおり、十戒等に出演していた方ですが、日本の公演のときも来ていたらしい。(→当時のブログにポスターが出ていましたが、おそらく右下の白い服の人な気が。Josué役だったらしいです。
十戒に興味がある方はこちらから映像が見れます(いつまで見れるかわからないけど。)。
https://www.youtube.com/watch?v=FzdlpaR4pdc
そしてピノキオにもソフィーさんと一緒に出演していた模様。。。世界は狭い。そういえば、ローランと一緒にコンサートに出てる映像を見たこともあった気が。

しかし、まだポールとマチルド、そして何よりも主役である「太陽の息子(le Fils du Soleil)」を探さなければならなかった。このときにはMySpaceが活躍した。リシャールの「MySpace friends」のリストの中に、彼は自身がその前の年に曲("On ne connaît personne")を提供した青年を見つけた。 彼の写真の隣にもう一人の「友達」-すなわちアルチュール・ランボー-の写真を並べてみた…このとき、リシャールにひらめき(illumination)が起こった。彼が、まさに「アルチュール」ではないか… これが、「新たなスターを探して(Recherche de la Nouvelle Star)」の優勝者であるジョナタン・セラーダである。パブロはこの青年について全く知らなかったが、彼こそがランボー役をやるべきだ、と言い、2日後、パスカルがスタジオでこのベルギー人青年を招き、リシャールを呼び、彼について話をしたのだった。

ジョナタン、ですが、確かに7年前のレクチュールのときは、うわ、この人、めっちゃアルチュールっぽい!と思ったのですが、年月を経た今、ちょっとその面影は…。とか言ってはいけないのですが、ちょっと難しいかもというのが私の個人的な感想です。2004年のEurovision(ヨーロッパの伝統ある音楽コンテスト)にフランス代表としても出場していた(wiki)ようなので、実力はある方なんだとは思うんですが。しかし、Myspceっていうのが時代を感じさせる笑。今、Myspace使ってる人なんているんだろうか。。。

マチルドの選択については、リュシー・ベルナルドニ(スター・アカデミーのファイナリスト)だった。彼女とリシャールはロレット・フュガン財団のマーチでその前の年に会っていた。マチルドに、彼は優しさ、キャラクター、そして若々しく愛らしい声を持っている人物を探していた。MySpaceによって彼は彼女にたどりつくことができた。ある日、彼女のプロフィールに、「このページに載ることができてうれしい」と短いコメントが載せられていた。もうこれ以上言葉はいらなかった。彼女こそがマチルドだ…もしオファーを受けてくれるのなら…

リュシーは、才能がありながら23歳の若さで亡くなったグレゴリ・ルマルシェル(フランスでは今でも彼の命日になると歌手の人たちが追悼メッセージを寄せるのを目にする。)の彼女だった人ですが(デュエット映像→こちら、高音が美しい&今もめっちゃ可愛い人なのでもし見れたら見たいなあと思ったりします。

ヴェルレーヌ選びについては、アルノー・ケランがアイディアを提案した。リシャールは、この役のデモ録音を行っていた。そしていつも理想のシンガーを探していた。そして、その頃 アルノー氏がさらりとこう言った。「この役、君にぴったりだと思う。自分でこの役をやるべきだよ。」そして、6人、そうまさにぴったりの数字、のキャスティングが完了した。これで、ミュージカルを始められる録音は、夏の初めに行われた。そして最近、ミキシングが行われ、曲の抜粋がインターネット上に公開された。2007年の終わり、パスカル・ラファは、この冒険から離れることを決めた。彼個人のプロジェクトに時間を取られすぎてしまったのだ。

さてさて、リシャールがヴェルレーヌ役になった経緯ですが、ここにもあるように、本人の意向では全くなかったようです。(アルノーさん、次回もリシャールに舞台に出るよう是非プッシュしてくれ笑。)この文章を書いたセリーヌさんがおっしゃるには、リシャールすごいヴェルレーヌ役がハマっていたらしいのですが、私的に家族を捨てて若い男に走る詩人(爆)、っていうイメージがどうしてもリシャールに重ならず(笑)、、、でも、だからこそ逆にリシャールのヴェルレーヌを見てみたいという気もします笑。そういえば、ヴェルレーヌの歌と思われる、やったら暗い曲(もちろんリシャールが歌っている。)がMySpaceにあったのですが、ヴェルレーヌのねっとり感(笑)がうまく表現されていた気がします。

ここでまた新たなエルネスト・ドラエーを探さなければならなくなった。リシャール・シャーレは、ジョナタン・セラーダと同年代のケベック人の若手歌手を求めていた。彼は再びMyspaceのマジックを使うことにした。こうして彼のリサーチにより、マルタン・ジルーにたどり着いた。彼は、2004年のカナダ版スター・アカデミーに参加していた。何通かのメールのやりとりと電話のやりとりがあり…マルタンはエルネストとなったのだった…これで再びチームが勢揃いした。


冒険はまだ始まったばかりだ…輝かしい未来のまさに始まりである…まだやらなければいけない作業はもちろん残っているが、すでにプロセスは進行中である。正しい道を通り、道はしっかりと準備できている。これこそランボーのマジックだ。このプロジェクトは、2人の情熱を持った才能ある友によって作られたものであり、彼らは、特別な世界-彼らの思い描くランボーの世界-に私たちを誘う方法を知っているのだ。こうして、物語は始まった…

最後は、7年前の話なので、まだ始まったばかりだ、みたいになっていますが、今頃は、いろいろ詰めの段階、なんでしょうか?(最近、ランボーの話はリシャールまったく出てこないので、全然謎なままですが。)

というわけで、とりあえず、ランボー関係のお話は公演まではこれで一区切りになるかなあと思います(リシャールがなにがしか発表してくれたらまた記事にはできると思うのですが。)。公演、2014年か2015年って言っていたけど、何だかこの調子だと2015年なのかなあという気がしなくもない。。。まあ、いずれにしても、待ってるとは思うけど笑。

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おまけ。

ランボー関係の本(詩集以外のもの)で結構面白い感じだったものを載せておきます。
ミュージカルの参考になるかもです。

■「素顔のランボー―同時代の回想と証言」
Amazon→こちら


ランボーにゆかりのある人(ドラエー、イザンバール、マチルド、イザベル(アルチュールの妹))のエッセイが集められている本です。それぞれの人がアルチュールをどういう風に見ていたかがわかるので、いろいろな視点でアルチュールの人生について語るというミュージカルの視点にちょっと近いかなと思います。イザベルは、ミュージカルには出てこないようですが、アルチュールを看取った人物です。

■ランボオの手紙
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その名のとおり、ランボーの手紙が収められている本。ランボーの詩は自分には難解すぎるので、手紙ならと思って手に取った本です。実際、手紙なので、詩のように???となる回数は少ない&ランボーの情熱が手に取るようにわかる気がしました。ただ、文体が古風なのがこの本の欠点。


■「ヴィタリー・ランボー―息子アルチュールへの愛」クロード・ジャンコラ著
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タイトル通り、お母さんのヴィタリーの人生についての話です。ヴィタリーは才能あるアルチュールを支配しようとした、とか、抑圧していたとか、割と悪いイメージで語られることが多いようなのですが、この本は、それは誤解だ、むしろこの母がいなければアルチュールは存在しなかったであろう、みたいな切り口で書かれているちょっと面白い本です。そういう意味では客観的な「伝記」ではない気がしますが、誤解された歴史上の人物を釈明するという切り口は結構面白い気がしました。アルノーさんとリシャールもヴィタリーを悪者という紋切り型の切り口だけでなく、こういう視点からも描いているのではないかなと個人的に予想しています。たまたまですが、この本を去年、探し当てたとき、この本の作者(結構有名なランボーの研究者らしい。)について、アルノーさんがFBで言及していて、何だか縁みたいなものを感じた思い出がある本でもあったりします。

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