2014年8月30日土曜日

1789 Les Amants de la Bastille 〜1789 バスティーユの恋人たち〜 祝 宝塚上演!

おー、ついに1789を日本語で紹介する日がやってきた!

宝塚の月組で2015年4月24日から上演決定〜!(東京は2015年6月19日から。)
http://kageki.hankyu.co.jp/news/detail/9caf7db52df7c0f1e16008f6694ca457.html

タイトルはとっても無難に、そのままバスティーユの恋人たちとなっていた笑。
何はともあれ楽しみです。

私フランスにこのミュージカルを見に行くとき、タイトルがフランス語で読めず「イチナナハチキュウ」と日本語読みしていたのですが(いや、今でもそうなんだけど苦笑)フランス語ではミルセットゥソン・キャトルヴァンヌフ、とやったら長い感じになります。(直訳だと1700、89という意味。)。そして副題は、レザマン・ドゥ・ラ・バスティーユ。2つ合わせると実は、超言いにくい。。。

という愚痴はおいておいて、フランス人にとってはおなじみの革命の年がタイトルになっているわけです。そして、副題がダイレクトに示している通り、革命を通じて出会ってしまった男女の身分違いの悲恋物語です(といっても出会い自体は結構コミカルな感じなのですが。。。)。と書くと、超ベタなラブストーリーに聞こえるかと思いますが、、、実際、、、期待をいろいろな意味で裏切りません(爆)。まさに王道のラブストーリーです。

登場人物についてはこちらにまとめました。

実際見に行ったときのカーテンコールのときの写真。
撮影は、可かどうかは確認は取っていませんが、とりあえず
この会場については放任でした苦笑。。。

もちろん、二人のラブストーリーが物語の主軸なわけですが、最初は、ごく普通のpaysan(農民)に過ぎなかった若者が、父を体制側の将校に殺され、運命が暗転し、パリに出て、デムーラン、ダントン、ロベスピエールといった革命家たちと出会い、その中で自身も革命に身を投じ、成長していく姿も見所の一つです。

また、革命の中の女性たちも見所の一つです。とりわけ、主人公の少年の妹(もしくは姉)は父を失った後、娼婦をして生計を立てているという設定ですが(下記、Je veux le mondeを参照。こういうところが非常にフランスっぽいですよね。)、彼女たちは実に「強い」です。娼婦も、職業としては、忌み嫌われるというか、もちろん大きな声で言えるような仕事ではなかったと思うのですが、その自立した生き方、強い意志、生きてやるんだ、という気概が全面的に出ていて、興味深かったです。

そして、革命に目覚める者があれば、断頭台の露と消える者もいる、というのが革命モノの 黄金ルール笑。このミュージカルにも、民衆の不平不満など気にも掛けない豪華絢爛+浮世離れした宮廷の場面→マリーアントワネットのさよならシーンという一連の体制側の没落の様子も描かれます。特にマリーアントワネットがすべてを失い、旅立つシーンは、平家物語ではないですが、「盛者必衰の理をあらわす…」みたいな世界観が出ていて、これはこれで、ちょっと切ないものがありました。

実は、自分は、どちらかというと、この舞台は、ストーリーに惹かれたというよりは、演出や歌やダンスだったりに感嘆した記憶が多いのですが(苦笑)、フランス発の革命ミュージカル=本家が作った本家のストーリーということなわけで、フランス視点でフランス革命を考えるという意味では、結構おもしろい舞台かなあと思います。

また、主要な登場人物として登場するカミーユ・デムーランは、ダントン、ロベスピエールらと比べて日本ではあまり知られてない人物だと思うので、そういう人が出てくるのもフランス発っぽいかなと思ったりします。

フランスっぽい、という視点でいうと、ちょっとセクシー&デカダンスな詞が多いところも挙げられるでしょうか。フランスに見に行ったとき、見物客は、大半が若い子、家族連れだったのですが、詞や演出がちょっと大人向けだったので、個人的にびっくりしました。というか、やっぱりこういうのがフランスのカルチャーなのかなと思いました笑。あと、ダントン(あの世界史の教科書に出てくる人ですね。)が、すごい女好きという設定になっているところも、驚きでした。

というわけで、個人的に、こういう詞がどんな風に和訳されるのか結構気になったりします。。。

さて、せっかく日本上演が決まったので、長らく放置していた(足掛け2年放置してるね笑。)ので、あらすじやら人物紹介ができたらと思っています。(目指せ、上演までに終了(苦笑))。下記、歌詞についてちょっと書いていますが、私の誤った理解等もあるかもしれないので、あくまでご参考程度に考えていただけると幸いです。。。

まず、ミュージカルなので、メインとなるシングルカットされた曲たちから紹介を始めることにします。シングルカットをされているので、もちろんプロモ映像もあるのですが、舞台版の方が個人的に好みなので、そっちを載せておきます。

Ca ira mon amour 
(サイラ・モナムール)



ミュージカルが始まる前から流れていた1st singleの曲。
映像だけではあまりわからないと思いますが、この曲、詞が非常にアダルティーで、ドキリとしてしまうまさにおフランス度満載な曲です(笑)。ちなみに、黄色い服を着ているこの人が、カミーユ・デムーラン(by Rod Janois(ロッド・ジャノワ))。曲中、彼が羽ペンを走らせるシーンがあるのは、彼が、ジャーナリストだったから、だと思います。

Je veux le monde
(ジュ・ヴ・ル・モンド)


「私は世界が欲しいの」、という誠にあっぱれなタイトルの曲です。曲調や女性たちの雰囲気でもわかるかと思いますが、もう我慢ならないわ!!!とプッツン+さあ襲撃するわよ、みたいに息巻いている&ちょっとフェミニストな感じの歌です。

歌っているのは、主人公のロナンの妹(姉ではないはず。。。)のソレーヌ。彼女は、冒頭で父を失い、その後、パリに出てきてパレロワイヤル周辺で娼婦をして生計を立てているという設定です。実はこの曲の他に、La nuit m'appelle (ラ・ニュイ・マペル(夜が私を呼ぶの))というよりストレートに彼女の娼婦としての生活が語られている歌があるのですが、この歌も、娼婦という生き方をマイナスに捉えていない点が、フランスっぽいなあと思いました。

Pour la peine
(プーラ・ペン)


見てわかる通り、カーテンコール曲です。タイトルは、辞書で引くと骨折り、とか出てきちゃうのですが(笑)、革命で犠牲を払った人たちへの努力へのオマージュ曲です。詞もなかなか静かな祈りと希望を感じる素敵な曲です。

Sur ma peau 
(スール・マ・ポー)



タイトルは英語にするとOn my skin。この肌に、決意(約束)を刻みつけるんだ(→もちろんタトゥーとかそういう意味ではなく、比喩的にだとは思いますが。)、というサビが登場します。この曲は舞台1幕の最初の方と舞台2幕のかなり最後の方にrepriseとして登場する曲なのですが、若き革命家が父を殺された時&バスティーユ襲撃を前に、その決意(父の死に対する復讐あるいは、新しい時代を切り開いていくのだという意志)をビシっと語る曲です。

さて、ここからは私的、おススメ曲。

Je mise tout
(ジュ・ミス・トゥ)

はい。マリーアントワネット登場曲です^^このシーンは、やっぱり、この豪華かつアーティスティックな衣装や演出が見所ですが、この歌、ご想像の通り(笑)、もう退屈すぎちゃって、デカダンス〜みたいな、ザ・ステレオタイプなマリーアントワネットの曲です笑。でも、これくらいいっちゃってる感が個人的にはシーンとしては見ていて楽しかったです。タイトルのJe mise toutのmise(miser)は、賭けるという意味なので、おそらく、毎日がつまらないから何でも賭けちゃうの、という貴族のアンニュイ感が出ていることば、な気がします。

Nous ne sommes 
(ヌ・ヌ・ソンム)


こちらも、後ろで箱の上に載っているsoldatsの独創的な衣装&ヘアメイクかつ、どうやってるのかよくわからない斜め45度の静止ポーズ(笑。腹筋が最強なんでしょうか。)が印象的ですが、歌は、「絶対服従!」みたいなガチガチのソルジャー魂を歌っている歌、のはずです。歌っているマチュー・カルノーのいっちゃってる顔が個人的にツボです笑。
最後に派手な発砲シーンがあって、圧巻なのですが、これ、日本でもやるんだろうか??

A quoi tu danses 
(ア・クワ・チュ・ダンス)


さて、このシーン、恐らくミュージカルの中で最もポップ(ロック?)なシーンかつ詞がちょっと浮いているシーン(爆)だと思うのですが笑、ロベスピエールが超ロックに歌って踊るのが非常に新鮮です笑。時代物にこんな現代的な曲が合わせられるんだ、、、という驚きが自分の中ではありました。

詞は、私の理解が間違っていなければ(実はちょっと自信ない。。。)、革命前夜の時期なので、何もかもに閉塞感が溢れている中、踊っていると頭や体がシェイクされて、トランス状態になり、もはや何を踊っているのかすらわからなくなるということのはず、、、。ちょっとヤケクソ感が漂う歌なのかなと思っています笑→踊ってないとえってらんねーよ、みたいな笑。私の勝手なイメージでは若干幕末の「えーじゃないか」の踊りのテンションに近いものがあるのでは、と思います。あ、でも、革命家たちは、革命をあきらめてるわけではないですが。

このシーンの後半で全員でタップダンスのようなものを踊るのですが(なぜか、このシーンは「ハカ(マオリの伝統的な舞)」と呼ばれていました。まあ、確かにハカの要素はあるような気はしますが、ちょっと笑ってしまった。)、近くで見たときは結構圧巻でした。そして、ミュージカルをやっていた頃はファンによるこの踊りのコンテスト等も行われていました笑。

※以下、最後のフィナーレ部分ネタバレです。見たくない方は飛ばして下さい。※

Fixe
(フィクス)


別の記事でも、この歌のことについては書いたことがあるのですが、個人的には一番好きなシーンです。そして、一番、フランス革命っぽいシーンだと思います。バスティーユ襲撃→主人公の少年の悲劇的な死→駆け寄る少女→Fixeで観客に畳み掛ける、という展開が何度見ても感動的です(いや、やるせなさが半端ない、といった方が正確かもしれません。)。Fixeの歌詞も、こんな未来溢れる才能ある若者がなぜ死ななければならなかったのか、問いかける、といったような古い体制(アンシャンレジーム)への批判が含まれた歌詞になっているような気がします。と、同時に、人間の命、尊厳、といったことも想起させるような歌詞になっているように思います。

途中で、歌手やダンサーたちみんなが、人権宣言を読みながら会場の方々から出てきて舞台に上がって、最後みんなで大合唱で終わるのですが、この演出も個人的にすごく好きでした。私がパリで見たときはロベスピエールが私の真横を通ったw。というわけで、この演出がもし日本でも引き継がれたら、スター様が真横を通る、なんてこともあるのかもしれません。。。

他にも好きな曲や場面はいっぱいありますが、とりあえず、今回はこれだけ。
あらすじ①はこちらです。

11 件のコメント:

  1. はじめまして、arisuenatiともうします。

    来年、帝劇で舞台「1789」が上演されるということで、どんな作品なのか知りたくて、調べておりましたら、こちらのBlogにたどりつきました。

    映像を使って、とても詳しく書いてくださっていて、面白くて一気に読ませていただきました。


    もし、よろしかったら、私のBlogに、記事をリンクさせて頂いても宜しいでしょうか?

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    1. arisuenatiさま
      拙ブログ、読んでいただきどうもありがとうございます!
      楽しんでいただけたとのこと、とてもうれしいです。
      ぜひリンクお願い致します><
      帝劇版、すてきな舞台になるといいなあと私も思っています^^

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    2. 下記のBlogの方で、紹介させていただきました。

      FC2 http://seiarisuedk.blog.fc2.com/

      ありがとうございましたm(_ _)m

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    3. 拝見させていただきました!ありがとうございます><

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  2. ありがとうございます。

    本当に楽しく読ませていただきました。
    昔から、この時代のフランスが好きなので、このミュージカルを知ることができて嬉しかったです。

    そして、フランスのロックを聴く機会があまりなかったので、その辺も新鮮で楽しかったです。

    訪問者もそれほどいない、好きな俳優さんの事しか書いていないBlogですが、紹介させて頂きたいと思いますm(_ _)m

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    1. 私も革命の時代大好きです。本当にいろんなことがドラマチックですよね~。私もフランス語ってモヤっとしてるので、ロックというイメージなかったのですが、意外と仏語ロックもいけるじゃんと初めて聴いたとき思いました>< 拝見させていただいたのですが、すてきなブログですね^^ 私も帝劇版は仏オリジナルに近づくのではないかと思い、心待ちにしています><

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  3. はじめまして 

    よりこ と申します

    私もarisuenatiさんの応援されている俳優さんのファンなのですが、
    「1789」の舞台が帝国劇場での発表があり、私自身があまり舞台に詳しくなく
    情報を求めて彷徨っておりましたところ、こちらのブログに辿り着きました。

    本当に舞台の内容や詳細が、映像と文章で分かりやすく、私も一気に読まさせていただきました
    この舞台について、「もっと知りたい」と思わせていただきました。

    これは、もっと他のファンの方にも、読んでいただきたいと思い
    私と友人のブログで紹介させていただいても、よろしいでしょうか?
    (実はYouTubeの画像などは参考にさせていただいておりました。無断で申し訳ありませんでした)

    前回、訪問時に、こちらのブログをリンクさせていただこうとしたのですが
    コメントがうまく入らず、断念しました。

    今回は再チャレンジさせていただきたいと思います。

    よろしくお願いします。

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    1. よりこさま
      ブログ読んでいただきありがとうございました!原作が仏語なので、確かに英語の劇に比べると情報が少ないですよね。。。少しでもお役に立てたのならうれしい限りです><
      私としてはみなさんに1789やフランスのミュージカルについて知って頂きたいと思って映像をupしたり記事を書いているので、リンク等していただけるのは大歓迎です ^^ よろしくお願い致します!

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  4. 早速、快く許可をいただき、ありがとうございました。

    これで、もっとたくさんのファンの方に知っていただけると思うと
    嬉しくて…(とは言っても、そう訪問される方が多いとはいえませんが)

    本当に感謝です。

    私自身、ブログの他のミュージカルにも興味がありますので
    度々、訪問させていただこうと思っております。

    リンクを貼らせていただくのは、

    http://jmask.blog24.fc2.com/?no=2360

    http://ameblo.jp/kako5124

    の2件です。

    よろしくお願いします

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    1. いえいえ、とんでもありません>< こちらこそリンクしていただき感謝です。ありがとうございます!最近は更新が滞っていますが、ぼちぼち再開しようと思います。。。
      1789も革命モノと言われても、具体的には「??」という感じだとみなさん思うので(自分もそうだった苦笑)少しでも1789に興味ある方のお助けになれればうれしいです^^

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  5. 今回の東宝、去年の宝塚、ともにこのブログが大変参考になりました。ありがとうございました。リンクはご自由にとあったで、僕のブログからリンクしました。僕も「影はますます長くなる」http://letztetanz.exblog.jp/というブログをやっています。ご覧いただければ幸いです。

    最後のダンス

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